第55章 男達の闘い
「大丈夫?早くない?」
「あ、大丈夫です。」
その頃、夜叉を探すため大川先輩と竹井先輩と別れたあたしは、藤崎先輩のバイクの後ろに乗っていた。
先輩が頻(しき)りに心配してくれる。
本当にこの先輩はいい人だと思う。
ゴオォォォォオオ――――
速くもなく遅くもないスピードで公道をバイクは走っていく。
誠也君の運転とは大違いだ。
こう言ってはなんだけど彼の運転は少々荒い。
だけど、彼の背中が心地よくてなんだか安心出来るのだ。
バタバタバタ―――
あたしの特攻服が揺れている。
でも先輩の特攻服は短くて、あたしのとは全然違う仕様だ。
それに、誠也君の特攻服程派手ではない。
文字は書いてあるがそれほど目立たない。
まるで、先輩の性格を表しているようだ。
「藤崎さんッ。」
近くで声がした。
と、同時に二人乗っているバイクが、あたし達の横につく。
紫の特攻服、極使天馬の兵隊だ。
「見つかったか?」
チラリと先輩が横を見た。
「この先にあるゲーセンの駐車場で、喧嘩してる奴がいるって後輩が言ってたんッスけど、そいつ等かどうかはまだ――。」
バイクの後ろに乗っている黒の短髪の眉毛の無い兵隊が言った。
「そうか、行ってみる。」
西村先輩がスピードを上げた。
彼等より少し前に出る。
「俺等も行きますッ。」
そう言ってピッタリと彼等が後ろに付いてくる。
音の違う排気音が辺りに響いた。