第55章 男達の闘い
「……お前がくることは予測の範囲内だ。」
ガラガラガラ―――
声と共に玄関の扉がゆっくりと開く。
鞘に納めた刀を手に持った宗次郎と、
「おどれはいつしかのションベン小僧やないかィッ!!」
哮(たけ)る善司がゆっくりと玄関から出てくる。
「なんでオッサンまで……まぁ、いいけどよ。」
堀田がガシガシと頭を掻いた。
「誰がオッサンじゃッ!!おどれは(ピー(自主規制))ぶった切るだけじゃすまんのッ!!その首きったるわッ!!貸せッ、宗次郎!!」
叫ぶと、善司は宗次郎が持つ刀に手を伸ばした。
「落ち着け。」
「こんな時に餅ついてられるかいッ!!」
「…お前の相手は俺が……いや、する必要はないか。」
「ワシ無視かいッ!!」
「どういうことだよ、おじけついたか?」
堀田が鼻で笑っている。
「いや、耳を澄ましてみろ。」
「ハァ?」
宗次郎の言葉に皆が耳を澄ました。
―――――ゴオォォォォオオ―――――
すると、わずかにだが何かがこちらに向かってくるような排気音が聞こえてくる。
車か。
いや、違う。
低く辺りに響く音だ。
これはバイクに間違えない。
「バイクか?……誰が――」
皆が首を傾げている。
しかし、宗次郎はクスリと笑う。
その音主が誰なのか、唯一彼だけが分かっていた。