第54章 団結と侵略
西村先輩と三善先輩はどうなったのだろうか。
彼が買った缶コーヒーを見つめながら、あたしは先輩達のことを考えていた。
どうか無事でいて欲しい。
そう願うのは大事な人達だから。
誠也君の大事な人は、あたしにとっても大事な人だ。
それに今までいっぱい彼等に助けてもらった。
だから、先輩達の為にあたしが出来ることは何かないのだろうか。
誠也君のバイクに背を預け、溜め息をついた。
「アイツ等の事なら心配すんな。そんなやわな奴等じゃねーよ。」
缶コーヒーを飲みながら隣に立つ彼が言った。
それは分かっている。
でも、万が一の事があるかもしれない。
なのになぜこんなにも彼は落ち着いていれるのだろうか。
先輩達が心配じゃないのだろうか。
「ずっと一緒にバイクで走ったり、喧嘩したり、笑いあったり色々してきたんだ。だからこそ分かる。アイツ等はぜってぇ負けねぇよ。」
彼の大きな手があたしの頭を包み込んだ。
ポンポンと、心地よく彼が撫でる。
「そっか、そうだよね。」
なんて、あたしはバカなんだろう。
出来ることじゃなくて信じて待つことが今のあたしに出来ることなんだ。
なのに先走っていろんなこと考えて、やっぱりあたしは子供。
彼の方がずっと大人だ。