第6章 思い出
「どうしたんお前?」
玄関で靴をはいてると出かけていた棗が帰ってきた。
「誠也君が…誠也君が…。」
涙が溢れてくる。
「秋本さんがどうしたんだよ?」
「撃たれた…。」
「え…。」
「今…病院にいるって。目を…覚まさない…て。」
溢れてくる涙を拭っても拭ってもそれは止まらない。
「来い!!バイクで送ってやる!!」
棗はあたしの手を掴んで外へ出た。
「病院どこ!?」
バイクのエンジンをかけながら棗が聞いてきた。
「…市立病院…。」
「わかった、乗れ!!」
「……うん。」
あたしが後ろに股がると、棗はバイクを走らせた。