第6章 思い出
ブーブー
夜。
そろそろ寝ようとした時、携帯が鳴った。
あたしは携帯を手に取る。
ディスプレイには誠也君の名前が。
うれしくて笑顔になりながら電話に出た。
「もしもし。」
「…あ、朝日さん…スか?」
けれど、聞こえてきた声は彼じゃなかった。
「俺…したっぱの渡辺(わたなべ)っつう者ですけど……総長が…。」
そこまで言うと渡辺さんは息を飲んだように言葉を詰まらせた。
あたしは嫌な予感がした。
「誠也君になにかあったんですか!?」
「……俺を守ろうとして撃たれたんっス。それでも相手に立ち向かっていって半殺しにしたんスけど…それが悪かったのか…目を覚まさないんで……」
渡辺さんの言葉が耳に入らなかった。
撃たれた?誠也君が?
「今市立病院にいます!!たぶんきっと総長…あなたに会いたいと思うから…だから…すぐきてください!!」
「わかり…ました。」
そこで電話が切れた。
あたしは急いで着替えて部屋を出た。