第54章 団結と侵略
「あー……くらくらする。」
伏田から離れた先輩が額を押さえている。
少し腫れ、血が滲んでいる。
一方の伏田は、いまだにニタニタと笑い、先輩の方へゆっくりと向かってくる。
「マー……ジかよ。こいつ、頭おかしいわ。」
ハハッと鼻で笑いながら先輩も伏田に近付く。
「……死んじゃえ……死んじゃえぇぇええ!!」
叫び声と共に拳が飛んできた。
「……ふっ―――。」
息を吹き出しながら素早くそれをかわす。
そして、拳を伏田に向かって放つ。
伏田も軽くそれをよけた。
それが何度も続いた。
ポタッ―――
ポタッ―――
彼等から滴り落ちる血が、アスファルトに染みを作っている。
動いているせいか、11月なのに汗が身体から吹き出ている。
動くたびに、それが身体から飛び散った。
――熱い。
身体が熱をもっている。
闘いという名の。
――負けてたまるかよ。
力一杯拳を放った。