第54章 団結と侵略
その頃。
「クソがッ!!」
ペッ―――
三善先輩は口から血の混じった唾を吐き出した。
ぺチャリと音を立ててアスファルトの上に落ちる。
グシャアッ――
「―――ッ。」
それと同時に彼は激しく伏田の顔に頭突きを噛(か)ます。
伏田がよろけ、彼の手から拳が離れた。
「余所者(よそもん)が派手にやってくれたな。」
切れた口内の傷を舌でたどりながら三善先輩が相手を睨み付けている。
「…あー、怪我した。面倒臭い……ブツブツ…。」
鼻から出る血を拭いながら伏田がブツブツと呟いている。
「なんだよ、独り言かよ。マジそういうのきめぇゾ?」
「会話するのも面倒臭い、家でネットしてる方がマシ。」
「はぁ?」
「というか、今時、特攻服とか流行んないし。紫?趣味悪。髪もダサ。……あーヤダヤダ。」
「……んだとコラァッ!!ナメてんのか、テメェはッ!!」
「……暑苦し。」
チラリと三善先輩に目を向けると伏田が呟いた。
「…ムカつく…。俺はチャラチャラした野郎も嫌いだけど、テメェみたいな根暗もだいきれぇなんだ―――」
三善先輩が拳を上げた。
「――よッ!!」
ドガッ―――
拳が、伏田の頬にめり込む。
が、彼は微動だに動かない。
じゅるッ―――
伏田は口角から出る血を舐めると、ニタァと不気味に笑った。
血のついた歯が口から顔を見せている。
ゾクゾクゾク―――
三善先輩の背筋に悪寒が走る。
「なんだお前……気持ちわり―――」
バコッ―――
「ブッ―――」
先輩が言い終える前に伏田の拳が先輩の腹にめり込んだ。