第54章 団結と侵略
「翔は?」
キョロキョロと見渡しながら誠也君が言った。
あれからすぐにあたし達は藤崎先輩達と合流した。
「いねぇ、携帯に電話しても連絡つかねぇ。どこ行ったんだよ、あのバカは。」
大川先輩がツルツルの頭をさわった。
あたしは嫌な予感がした。
いや、あたしだけではない。
他の皆もきっとそう感じているはず。
ジッと地面を見つめた。
"争いなんてなければいいのに"
あたしの考えは甘いのだろうか。
"誰も傷付かないで欲しい"
そう思うのはいけないこと?
答えの返って来るはずのない想いを心に浮かべた。
「大丈夫だ、俺達がなんとかすっから。」
誠也君が優しくあたしの頭を撫でた。
「……うん。」
あたしは小さく頷く。
「まぁ、大方"夜叉"の奴と出くわしたんだろう。」
藤崎先輩が携帯を直しながらいった。
「やられてねぇといいが……アイツすぐ突っ込むから。」
大川先輩が心配している。
「まぁ、それがアイツのいいところであって弱点でもあるけどな。」
竹井先輩が遠くを見つめた。