第54章 団結と侵略
「まぁ、ここら辺の地理はアイツ等より分かる自信はある。」
そう言って、宗次郎がブレーキを駆使し左の道に曲がった。
キュルルルル―――
ズササササ――――
タイヤが地面を擦った。
「だから……運転荒い言うとるやろがぁッ!!」
善司が助手席にしがみついている。
キュルルルル――――
ズササササ―――
後ろからも同じ音がした。
相手もピッタリとついてくる。
「きゃ――危ないわねッ!!」
「危ねぇだろうがッ!!」
道端で男女が叫んでいる。
だが、それどころではない。
追っ手をふりきらなければならない。
「あー、じれったいのぅ。ワシが運転したろか?」
「断る。」
「即答かィ。まぁ…えぇわ。」
ガシガシと、善司が頭を掻いた。
「いい加減、飽きてきた。」
ポツリと宗次郎が呟いた。
「は?」
「片をつける。」
彼はそう言うと、アクセルを一気に踏み込み追っ手を引き離した。
そして、ブレーキをとハンドルを使い、
キュルルルル―――
キュッ―――
ドリフトで道に沿った所にある駐車場に収まった。
神業だ。
その後ろを追っ手の車が通りすぎていく。
「遊んどったんか、おどれは……。」
助手席に張り付いた善司が横目で宗次郎を見た。
「まぁな。」
宗次郎は涼しい顔で答えた。
「やっぱおどれは運転荒いわ。」
「……俺だ。」
そして、彼の言葉を聞くことなく携帯を取りだし電話をかけた。