第54章 団結と侵略
国道○○号線
「……で、勝算はあんジャろ?裏切り者を游がしとるぐらいやから。」
助手席で煙草を吸いながら善司が言った。
「いや、正直の所…分からん。……江田がどう出るか。まぁ、後ろで高みの見物といった所だろ。」
片手でハンドル操作をしながら、懐から煙草を取りだそうとした。
「……もう、追っ手を寄越したみたいだぞ。」
そう呟くと、宗次郎はその手を止め、バックミラーを見ていた。
「なんジャ、豪龍会か?」
善司もバックミラーを見た。
「だろうな。」
頷くと、アクセルペダルを力一杯踏み込んだ。
スピードメーターがぐんぐん上がる。
車を縫うように躱(かわ)し、前へ進んでいく。
その後ろを大型の黒光りするランクルや乗用車が追いかけている。
「ハジキ持っとるか?ワシ、今日手ぶらで来たんじゃ。」
「これを使え。」
差し出した善司の手の平の上に、宗次郎は懐から出した拳銃を置いた。
「おどれ、えぇもんつこうとるのぉ。」
受け取った拳銃を眺めながら善司が呟く。
「そんなこといいから早くしろ。この車の多さだ、撒けるか分からん。」
前を見ながら宗次郎の眉間にシワがよる。
確かに、今の国道は車の通りが多い。
何車線あっても足りないくらいだ。