第54章 団結と侵略
「……清ッ!!何でお前がここにッ!?」
振り向いた彼が驚いている。
もちろん、あたしも。
そこには、紫の特攻服を纏った傷だらけの西村先輩がいた。
「兵隊達から聞いた。」
ゆっくりと西村先輩が歩いてくる。
「コイツは俺にやらせてくれ。……俺はやられたらやり返さないと気がすまねぇんた。それに、テメェのケツくらいテメェで拭くわ。」
南の前に立った先輩が振り向かずに言った。
「でも、その怪我じゃ……。」
あたしは先輩を止めようとした。
「………わかった。負けんなよ、清。」
しかし、誠也君に手を掴まれた。
「…ったりめぇだッ!!こんなふざけた野郎に二度も負けてたまるかよ。」
振り向いた先輩がニィっと笑った。
「そうだな。」
誠也君も笑った。
「行くぞ、桜。」
彼があたしの手を引く。
「でもっ――」
先輩の背中を見た。
「自分の後始末は自分でつけたいんだよ、アイツは。それを邪魔しちゃあいけねぇ。……分かってやれよ。」
彼があたしをジッと見た。
「うん……。」
あたしは小さく答えた。