第54章 団結と侵略
―――やっはり、宗次郎さんは他の極道の人とは違う。
ジッと宗次郎さんを見つめた。
誠也君が撃たれた時も病院まで送ってくれたし、なんだか彼といると安心していれる。
初めは、恐い人だと思ったけど……
でも、やっぱり違う。
それにキス……。
思い出した様に頬が熱くなった。
思わず顔を反らす。
「……どうしたんだよ?」
それに気付いた誠也君がジッとあたしを見つめた。
そして、あたしが見ていた方を見た。
一気に彼の眉間にシワがよる。
不機嫌そうだ。
「無理をし過ぎたんじゃないのか?少し休むと――」
「桜にさわんなッ!!」
宗次郎さんがあたしの前に来てあたしの額に触れようとした瞬間、彼が力強く叫んだ。
周りの人が一斉に彼を見ている。
「誠也君……?」
あたしはキョトンとした顔で彼を見た。
「…桜にさわんじゃねぇ……。」
宗次郎さんを睨み付けている。
「………そうか、すまない。」
そう言うと、宗次郎さんは中に浮いた手を降ろす。
「……君の彼氏はかなり嫉妬深いな。」
そして、クスリと笑うと、またもといた場所に戻った。
「……ホント、ガキじゃの。」
善司さんは呆れた様に溜め息を吐いた。
「………。」
しかし、あたしの頬はまだ熱を持っている。
―――早く冷めて。
そう思いながら、熱を冷ますように手を扇ぎながら顔に風を送った。