第54章 団結と侵略
「暴走族間の問題なら、我々極道は口を出さん。だが、相手は銀楼会の会長の倅(せがれ)だ。銀楼会が出てもおかしくない。ましてや、豪龍会に裏切り者。事は深刻な問題なんだ。」
宗次郎さんが目を閉じた。
「じゃあ、仲間やられて黙ってろって言うのかよッ!!」
「違う。」
「だったら―――」
「お前は少し黙ってろ。」
開いた目の鋭い眼光が誠也君に突き刺さる。
不穏な空気が辺りに流れた。
「要するに、ワシ等は豪龍会と銀楼会倒して、ガキ共はガキ共同士でじゃれてろ言うんジャろ?」
「……銀楼会は別として、豪龍会との抗争は避けられんだろ。」
善司さんの言葉に宗次郎さんが頷いた。
「一番は豪龍会の会長と話が出来ればいいんだが、…無理だろう。」
「何でジャ?」
「肺がんなんだ。それも重たいな。だから、むやみに話せん。とにかく、昨日も言った通り互いが協力するしかないな。」
「嫌ジャ……と言いたいが、仕方ないのぉ。足手まといになるなよ、ガキ。」
ジロリと善司さんが誠也君を見た。
「誰が!!お前の方こそ邪魔すんなよ鼻傷オッサン。」
彼も善司さんを睨み付ける。
「誰がオッサンじゃッ!!」
善司さんの叫び声が響いた。