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レッテル 1

第54章 団結と侵略




「あのオッサンどこいったんだよ。」

あれからしばらく歩いたが加藤の姿はない。
ICUの前にいた男の人も来ていないと言った。

「………しとったん。」

途方にくれて椅子に腰かけていると近くから声がしてきた。
向こうから誰かがやって来る。
よく目を凝らして見てみると、加藤だ。
それに隣の人は知らない人だ。

「おい、オッサンどこ行ってたんだよ。」

誠也君も気付いたのか、不機嫌そうに言った。

「だから、誰がオッサンやねん!!」

加藤が叫んでいる。
静かな病院によく響く。

「兄貴どこ行ってたんッスか?…て、その人は?」

建一君が不思議そうに男の人を見ている。

「………坂下や……。」

加藤が小さく答えた。

「え!?坂下ってあの……でも死んだんじゃ―――。」

驚いて建一君が口を押さえている。

「ワシもそう思っとった。けど…こいつはハルに間違えない。」

「…………。」

加藤の言葉に坂下と呼ばれた人は俯いた。
口を開こうとはしない。

「オイオイオイ、話が見えねーんだけど。誰だよ坂下って。」

誠也君が不機嫌そうに加藤を見ている。

「6年前に組のかね盗んだのがバレて殺された奴や。」

加藤の眉間にシワがよる。

「殺されたって、そいつが坂下だろ?生きてんじゃねーかよ。」

「そうだよね。」

あたしと誠也君は状況が理解出来ずに首を傾げた。

「ワシかて分からん。なんで生きてるんかも……親父の命(タマ)狙うんかも。」

「え……。」

加藤の言葉に坂下以外の人が驚いた。

「話してくれんのや……何も。」

ジッと坂下を見ている。

「とりあえず、兄貴が来るまで待っとこ。」

加藤が長椅子に腰かけた。



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