• テキストサイズ

レッテル 1

第54章 団結と侵略




バコッ―――

ドサァッ――

カラカラカラ――

加藤の拳が男の頬にめり込む。
男は豪快に床に倒れた。

「なんで……なんで生きとんのや。いや、そうじゃなくて……なんで親父ねらうん。」

苦しそうな表情で加藤は男を見下ろした。
フードが脱げたボサボサ頭の無精髭を生やした男は、殴られた頬を押さえてジッと床を見つめている。
口を開こうとはしない。

「お前また……過ち犯すんかッ!?」

再び、加藤が拳を上げた。

「どうしました!?」

すると、奥から夜勤の看護師が走ってきた。
床に転がった拳銃を見て驚いている。

「………なんでもないねん。」

加藤はそう言うと、拳銃を拾った。

「でも……それは―――」

看護師が口を押さえている。

「……エアーガンや。最近のエアーガンは性能エエねんな。」

「はぁ……?」

ニイッと笑う加藤に看護師は首を傾げた。

「ほら、ハル。…行こか。」

男の手を取る。

「………。」

男は無言で立ち上がった。
そして、ICUを後にした。



/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp