第54章 団結と侵略
「ガキがワシの前歩くなやッ!!」
「ガキガキガキガキ、テメーは"が"と"き"しか言えねーのかッ!?ぁあッ!?」
病院の駐車場に着いても彼等は言い争っていた。
睨み合いながら、病院の坂を上っている。
その後ろを、あたしと建一君が付いていった。
建一君は見た目とは違い、いい子だ。
「兄貴はああ見えていい人なんスけどね。」
彼等を見て苦笑しながら建一君が言った。
「え?」
加藤がいい人?
全く想像できない。
ラブホテルに誘拐されたし、顔恐いし。
でも、ちょっとどこか抜けてる気がする。
「俺を助けてくれたから……恩義があるんス。早く強くなって恩を返したい……そう思ってます。」
建一君が拳を強く握った。
あたしにとって加藤が"いい人"じゃなくても、彼にとってはいい人なんだ。
見た目とかではなくて、中身は見方によっては色んな風に変化するんだ。
人は。
見た目で判断してはいけないのかも。
ジッと加藤を見つめた。
するとチラッと振り向いた加藤と目が合った。
「……嬢ちゃんワシに惚れたんか?見つめんといてぇな、恥ずかしいわぁ。」
「へ?」
頬を仄(ほの)かにピンク色に染め、頭を掻きながら加藤が言った。
加藤の的外れな言葉に、あたしは間抜けな声を出してしまった。