第54章 団結と侵略
ヴォンッヴォォオオン――――
「うっさいわ!!吹かすなやッ!!」
「うるせぇッ!!バイクは吹かしてこそなんぼなんだよッ!!」
国道○○号線。
前を行く加藤が、車の窓から顔を出して叫んだ。
それに負けない程彼も叫んでいる。
今、周りに車がいないことが唯一の救いだ。
もしいようならば、この二人は迷惑に違いない。
「オッサンこそチンタラ走ってんじゃねぇッ!!」
「誰がオッサンやッ!!」
また、彼等が叫んでいる。
――神様、病院に着くまでこの人たちの口を閉ざしてください。
切実に願う。
「ここ、制限60キロだぞッ!?何、55キロで走ってんだよッ!!」
誠也君が速度メーターを見ながら言った。
「ガキのクセに細かいんやッ!!男は大雑把にいかんかいッ!!」
加藤が片腕を出して親指を下ろしている。
「っせえッ!!テメェはオッサンじゃないでジジイかッ!?クソジジイなんかッ!?ぁあッ!!」
「誰がジジイやねん!!意味わからんわッ!!おどれは家でオカンのオッパイでも吸ってればええねん!!」
もはや、どっちもどっちだと思う。
というか、善司さんの時といい言い争うレベルが低すぎて呆れてしまう。
幼い子供が、
"お前の母ちゃんでーべーそー"
と言っているぐらいのレベルだ。
なんだか笑える。