第53章 闇からの使者
キイィィィイイ―――
ズササササ―――
と思ったら、突然止まるバイク。
スピードを出していた為、タイヤが地面を擦った。
パァァンパァンパアンパアァァアアン―――
そして、しつこいクラクション。
「おどりゃあどこみとんじゃッ、危ないやろがィッ!!」
白くデカイ車の運転手が窓を開けて怒鳴っている。
「うるせぇッ!!こっちは青なんだよッ!!テメェの目は節穴か!?飾りかッ!?ぁあッ!?」
誠也君も怒鳴っている。
ガチャ―――
バタンッ―――
「そんなこと知ったことやないんや………て秋本やないかい。」
「お前、加藤のオッサンじゃねぇか。」
車から出てきた男は彼を見て驚いたような顔をしていた。
加藤だ。
「誰がオッサンやねんッ!!ワシはまだ23や。」
唾が飛んでいる。
「なんでこんな所にいんだよ。」
眉間にシワを寄せながら、彼が尋ねた。
「親父の様子見に病院に行くねん。」
「なんで今時間に……バカじゃねぇんか?」
「バカいうなやッ!!せめて"アホ"って言わんかいッ!!」
いや、どっちも同じだと思うけど。
今さらながら、この人ちょっと頭のネジが緩んでる気がする。