第53章 闇からの使者
「で、お前は何しとんや?嬢ちゃん連れてデートかいな?ガキは早よう寝らなあかんで?」
ボリボリと加藤が頭を掻いている。
「どこをどう見たらそうなるんだよ。」
「なんとなく。」
興味無さそうに加藤が答えた。
「仲間がやられたんだよ。」
「誰に?」
「夜叉。」
「もう、動いとんのかいアイツ等。ワシもうかうかしてられんわ。」
ボキボキと加藤が腕を鳴らした。
「何が?」
「喧嘩に決まっとるやろ。いつ、豪龍会が攻めてくるかわからんさかい準備は怠らんで。」
「そうかよ、じゃあな。」
「ちょい待ち。」
誠也君がバイクを動かそうとすると加藤に制された。
「なんだよ、邪魔すんなよ。」
不機嫌そうに加藤を見ている。
「今、探しても奴等は動かんで?フツーに考えてみィ、寝とるやろ。」
「だから?」
さらに彼が不機嫌になった。
「ワシについてきーや。朝まで病院で待って、兄貴呼んで話するんや。」
「何でだよ。」
「もう、おどれ等だけの問題や無いんや。…わかるやろ?」
加藤の目がギラリと光った。