第53章 闇からの使者
「お前は危ねぇから家に――」
「うぅん、あたしも行く。」
その頃。
特攻服に着替えている彼の言葉を遮り、あたしは言った。
あたしも、自分の特攻服に手をかける。
力は全くと言っていいほどないし、喧嘩だって出来ない。
でもどこかでジッとしているのはもうごめんだ。
今度こそ彼の役に立ちたい。
誰かを守りたい。
特攻服に着替え髪を一つに結んだ。
「でも……あぶねぇゾ?それに、守れるかわかんねぇ。」
彼が辛そうな顔をしている。
「辰川の時だって家にいても危なかったんだよ?どこにいても危ないのは変わらない。それなら、誠也君の側にいたい。」
あたしの決意は堅い。
何を言われてもそれは変わらない。
「……そうだったな。よしッ、俺の側から離れんじゃねーゾ、絶対に。それだけは約束しろ。」
「分かった。」
頷くと共にポニーテールに結んだ髪がサラリと揺れる。
「今日のうちに全て片をつけてやる。」
彼が腕を鳴らした。