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レッテル 1

第53章 闇からの使者



「今何時?」

「一時。」

「そっか、一時間以上も気絶してたんだ俺。」

ブランコに座りながら西村先輩が煙草を取り出した。

「……誰にやられた。」

ブランコを囲む鉄の枠に腰かけていた誠也君が唸るように言った。

「……バイクで転けた――」

「んなわけねーだろうがッ。お前がバイクで転けるとかありえねーんだよ。本当の事を言え…誰にやられた。」

彼の目が怒りに満ちている。

"恐い"

その一言じゃ表せないほど。
彼は仲間の事に対しては熱くそして情深い。
仲間の為なら命を張れるほど。
でも、それがたまに恐くなる。

―――あたしの目の前からいなくなるんじゃないかって。上田さんみたいに。

「………夜叉だ……南っていう……ドレッド野郎に…―――。」

先輩の手が震えている。

「幹部か?」

「………あぁ……。」

「そっか。」

彼が立ち上がって背を向けた。

「どこ行くの?」

彼の背に訪ねる。

「帰るぞ。」

「なんで?」

「着替えんだよ、勝負服に。」

彼の声に怒りがこもっている。

「…仲間やられて黙っていられるほど俺はお人好しじゃねーんだッ!!」

叫び声が公園に響いた。


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