第53章 闇からの使者
―――こいつはやベーゾ。余所者に負けるんかよ俺……。
地面に崩れ落ちた血だらけの先輩が、迫りくる悪魔を睨み付けている。
―――こんなんじゃ……誠也に追いつけるわけねぇ……。
拳をグッと握る。
ダチであり、仲間であり、ライバルでもある赤い髪の男を思い出す。
いつも、自分の一歩も二歩も前を行くアイツ。
出会いは最悪だったっけ。
でも、拳を交えて一緒に戦っていくうちに、アイツの後ろを守っていこうって気持ちが湧き出てきて……。
―――あーダメだ!!しっかりしろ!!負けんじゃねぇッ!!
ユラユラと立ち上がる。
「へぇー、クソかと思ったら根性はあんだな。」
南がヘラヘラと笑っている。
「……クソクソクソクソ、うるせーゾ?ウンコ垂れか、テメーは。」
切れた口角を上げた。
ドロリと血が垂れる。
「……クソムカつく。さっさと死んでろッ!!」
南が拳を上げた。
―――ヘヘッ……わりぃ誠也。
ゴガッ―――
音と共に目の前が真っ暗になった。