第52章 歯車
「レイカ………。」
PM:9:36
ピンク色の部屋で、江田は女と身を重ねていた。
相手はお気に入りのキャバ嬢、"レイカ"。
彼の欲のままに激しく行為は行われる。
「あぁ……お前をコマしてるときが一番や…。」
欲望を吐き出しながら、江田が小さく囁いた。
「豪龍会って西條会となか悪いんですか?」
行為の後。
ベッドの中。
江田の腕の中に横たわるレイカが尋ねた。
「…なんでや?」
不機嫌そうに江田がレイカを見ている。
「…この前、クソ若がどうとか言っていたから。」
彼の胸に身を寄せる。
「……なか悪いに決まっとるやろ。まっ、いずれ西條会はつぶれるんや。中からボンッ……とな。」
笑いながら煙草を吸っている。
「……なんで?」
「……まぁ、お前にだけ教えてやる。」
小さくなった煙草を灰皿に押し付ける。
「奴等の中に小さい芽が出とったから、ちょっと水やっただけや。したら、どんどんどんどんでかくなってな、奴等を飲み込むんや。」
―――水?芽?
レイカは考えていた。
どういう意味だ…と。
「…もうすぐや。もうすぐワシの時代がくる。聞こえてくるわ、アイツ等が崩壊する音が聞こえる。銀楼会の小童も全員潰すゆうとったしな。」
「いつ?」
「明日ぐらいやないんか?わしゃ、知らんけど。」
「へぇ………。」
レイカは彼から目を反らした。