第52章 歯車
「銀楼会?……なんで余所者がこっち来とるんジャ?」
眉間にシワを寄せながら宗次郎さんを善司さんが見た。
「まぁ、江田に頼まれたか裏切り者がいるかどちらかだろう。」
「裏切り者?誰や?言ってみぃ。ワシが命(タマ)とったるわッ!!」
宗次郎の言葉に善司さんが興奮している。
「それは俺にも分からん。だが、親父を狙った奴と関係しているかもしれん。」
そういうと、宗次郎は煙草を取りだしくわえた。
それをあたしはジッと見つめていた。
話が見えない。
色々一気にありすぎて、頭が混乱している。
「よーするに、西條会と俺等を邪魔者にしている奴だろ?なら、松下じゃねぇんか?」
黙っていた誠也君が口を開いた。
「ワシもそう思う。」
彼の言葉に加藤が頷いた。
「なぜだ?」
煙草に火をつけた宗次郎さんが誠也君を見た。
「毎回俺等狙ってるし、そんなバカな事考えんのはアイツしかいねーだろ。」
彼が首をならしている。
「いや、それはない。」
誠也君の言葉に首を横に振った。
「なんでだよ?」
皆が宗次郎さんを見た。
「松下の力で銀楼会が動くと思うか?それに江田が取り合う訳がない。」
「まぁ、三下やからな。」
加藤が笑っている。
「三下?」
あたしは首を傾げた。
「したっぱていう意味。」
誠也君が耳打ちした。