第52章 歯車
「そんなこと言って、面倒臭いだけだろ。」
堀田が顎をしゃくれさせた。
「あたり。」
白井が答える。
「つかさぁ、こっちの奴クソよえーな。」
グシャッ――
「あ……が……。」
足元に転がる巨体の男を、南が足で踏み潰す。
血が辺りに飛び散っていた。
幸い、周りに人気がない。
「くだらん事ばかりして…そんなことしても一円にもならん。」
眼鏡をずらしながら林山が携帯を触っている。
「いや、お前の方がくだらねーだろ。」
サングラスの下の目が林山を睨み付ける。
「なにがだ?」
チラリと南を見た。
「株。」
南が口を尖らしている。
「お前はバカか?」
林山が鼻で笑った。
「あ?」
再び、南が林山を睨み付けた。
「頭の使い方によっては稼げるんだよ。俺は株で失敗したことはない。」
はっきり言い放つと、林山は再び携帯に目を向けた。