第52章 歯車
「じゃあ、おどれは何人コマしたんヤ!!」
「………100人ジャッ!!」
「はぁ?ありえへんッ!!これじゃ埒あかんわ。」
なんだこの会話は。
まるで中学生や小学生が、
"俺の先輩強いんだぜ"
と言っているようなものだ。
本当に言い争うレベルが低い。
というか、二人ともなんだか雰囲気が似てる。
「嬢ちゃんッ!!」
二人の声が重なった。
二人があたしの方を見ている。
「どっちがイケメンかはっきり言ってみぃ!!」
男の口が開いた。
「どっちや!!」
今度は加藤が口を開く。
あたしに喧嘩の火の粉が飛んできた。
最悪だ。
思わず後ずさる。
「……黙って聞いてりゃあ、オッサン二人でうるせーんだよ。」
ふーと煙を吐きながら誠也君が言った。
「誰がオッサンやッ!!」
また、二人の声が重なった。