第52章 歯車
―――本当、意味わかんねぇ。なんなんだよコイツは。
目の前の男を睨み付ける。
へらへらした顔が、更に俺の中の苛立ちを沸き立たせる。
「かっこいいねぇ、赤助はぁ。」
顎を触りながら、堀田が見ている。
「赤助はやめろッ!!」
「やだねぇ。」
「うぜぇッ!!」
下から降り上げるように拳を腹に入れる。
バコッ―――
鳩尾(みぞおち)に入った。
が、
「ふぅ……なかなかいいねぇ。だが…。」
ドコンッ―――
「ぶっ―――」
肩を掴まれ、堀田の膝頭が腹にめり込む。
思わず口から唾液をボタボタと吐き出した。
「まだまだだな。」
ニヤリと堀田が笑った。
「……っせぇ、テメェもまだまだだ。」
口から出た唾液を拭う。