第6章 思い出
帰りにそのまま彼の家に行った。
壁に特攻服が掛けてある。
あたしはそれを見た。
その特攻服は背中に"愛は力ではなく愛で守れ"と書かれていた。
何だソレ?
て思った。
正直意味がわからなかった。
あたしには理解出来ない。
「何で、こんなの書いてるの?」
「俺もわかんねぇ。それもらった時、自分で考えろって言われちまったから。……でもお前といると分かる気がする。」
そう言って彼はあたしの頭を撫でた。
彼の特攻服は本当にボロボロだった。
ところとどころ破れていて、飛び散るように血の染みがついている。
それは、今まで彼がどれだけ死闘を乗り越えてきたのかを物語っているようだった。
「上田さんに会いてぇな。」
彼はコンポの横にある写真を見ながら言った。
あたしは写真を見た。
写真には誠也君と金髪の男の人が写っていた。
誠也君は無愛想な表情をしていたが、金髪の男の人は楽しそうに笑っている。
「上田さんに勝てたことなんて1度もなかった。喧嘩も強ーし、バイクも…何もかも凄かった。それに熱い人だった。」
彼は写真から目を背けるとビールを飲んだ。
「あの人は…俺等を守る為に死んだんだ。ホントにすげぇ人だよ。俺もあんな風になりてぇ。仲間や、お前を守れるようになりてぇよ。」
そう言うと彼はうつむいた。