第51章 溺れた者と再来
「加藤。」
「あ…兄貴、どうしてここに?」
取調室を出ると、加藤は目を見開いた。
黒いスーツ姿の宗次郎がいたのだ。
「お前が捕まったって聞いてな。俺だけじゃない。お前の連れもいる。」
「………兄貴…。」
宗次郎の後ろから建一が出てきた。
げっそりと窶れている。
「ケンッ!!大丈夫やったかッ!?ホンマ心配――。」
「すんません。俺……初めて死体みたんで…気が動転して――。」
建一が唇を噛み締めている。
肩を掴んだ加藤を見ようとしない。
「そんなん、気にせんでもえぇ。初めて死体見て平気なヤツとかおらへんで、普通。」
ニイッと加藤は笑うと、豪快に建一の頭を撫でた。
「あ…兄貴!!俺…一生着いて行きますッ!!」
加藤の言葉を聞いた建一は拳を握り叫んだ。
「やめーや、恥ずかしいやんかぁ。」
照れたように加藤が頭を掻いた。
―――やっぱり、俺の後ろはコイツしかいないな。
それを見て、宗次郎はクスリと笑った。