第51章 溺れた者と再来
「わかがし。加藤の兄貴が――。」
「加藤がどうした?」
「…サツに捕まりました。」
「なんだと?」
岩中宅。
加藤が警察に捕まった事は直ぐに宗次郎の耳に入った。
彼は今、目を覚まさない董次郎のかわりに家で仕事をこなしていたところだ。
「今、下の者から電話があって、暴行の現逮だと……。」
「分かった。」
そう返事をすると、宗次郎は立ち上がった。
「わかがし、どちらへ?」
「……出かける。」
「では護衛を―――。」
「いらん。」
「しかし――」
「留守を頼んだぞ。」
「……はい。」
男が返事すると、宗次郎は表へ出ていった。
「おいっ。」
出ていったのを確認すると男は下の者を呼んだ。
「ばれないように護衛しろ。」
下の者に耳打ちをした。