第51章 溺れた者と再来
ウゥーーウゥーーン――――
突然聞こえてきたサイレンの音。
黒と白のパンダのようなパトカーが何台か馬場団地の入り口に止まった。
警察だ。
「やーべやべやべぇ、俺さ今捕まるわけにはいかんのやわ。じゃっ、そういうことで。」
堀田は片手を上げると入り口とは別方向に走り出した。
「ちょ…ま――なんやねん、アイツは。」
頭を掻きながら、加藤は堀田の後ろ姿を見ていた。
「まぁ、ええわ。ケン、大丈夫か?」
「………。」
建一の方を向けば、彼はまだ震えていた。
目を見開いて、視点が定まっていない。
「まてッ!!」
警察官が走ってくる。
「えらい、恐ろしい顔してからにどないした―――」
「午後12時35分、現逮で確保ッ!!」
カチャリッ―――
「へ?」
制服を着ていない男に、加藤は腕に手錠をかけられた。
「なんでやねんッ!!ワイがなにしたっちゅうんや!?」
「お前は今暴行をくわえていた。」
「いや、ちゃうやろ!!じゃれおうとっただけやん!!」
「自白確認。」
「なんでや!!意味わからんわッ!!はなせぇ!!」
ズルズルと加藤が、警官二人に連れて行かれる。
「君も話を聞くから来なさい。」
建一もその後ろを歩かされた。
「どないなっとんやッ!!このクソ垂れッ!!」
「さっさと乗れ。」
「意味わからんて!!ちゃんとせ―――」
バタン―――
両脇に警察官を挟まれパトカーの後部座席に乗せられた。
加藤の言葉も虚しく、ドアが閉められる。
そのまま、パトカーはゾロゾロと走り去っていった。