第51章 溺れた者と再来
「……"何しに来た"…の答え。」
ニヤリと堀田が笑った。
「エエ度胸やないかい。岩中の駒犬の力見せたるわッ。」
加藤の目がギラリと光った。
「駒犬?それってしたっぱやんけ。」
「うっさいわ。これから番犬になるんじゃ、ドアホッ!!」
シュッ――
建一の腕を放した加藤の拳が素早く宙を切る。
バコンッ――
「ぶっ―――」
堀田が口から唾液を吐き出した。
「……何を飼っとるかは知らんが、その身体の墨は飾りか?それとも見せもんか?」
「……あー、それも聞いちゃう?アンタ最高だな。…色んな意味……でッ。」
ガシッ―――
そう言うと、髪を掴み
グシャアッ―――
顔面に膝蹴りを食らわす。
膝頭が鼻にめり込んだ。
「ブハァァッ―――」
加藤が鼻血を吹き出した。
その勢いで身体が揺らぐ。
掴んでいた拳が放れた。
「……おもろいわ。もう、ジブンがどこ者とか関係無い。しっかりと潰させてもらうわ…ワレの拳……をッ!!」
バコ―――
バコ―――
バコ―――
相手の顔に、加藤の拳がどんどん入って行く。
早い。
堀田が避ける間もないくらいだ。
「……おどれは口だけか?」
加藤が殴りながら睨み付けている。
バシィ――――
「………どーでしょ。」
拳を片手で受け止めて、
バコ―――
バコ―――
バコ―――
腹に何度も拳を入れていく。
「かはっ―――」
加藤が、唾液を吐き出した。
「……ええパンチやん。やっぱ……おもしろいわぁ。」
彼はそう呟くと、鼻から垂れる血を拭った。