• テキストサイズ

レッテル 1

第51章 溺れた者と再来



「ハァハァハァハァ………。」

建一を抱えいた加藤は、ごみ山の間にいた。
物凄い勢いで四階から階段を経て降りたため息を切らしている。
一方の建一は、初めての光景に、いまだに目を見開いていた。
小刻みに震えている。
まるで、あの時の坂下と同じように。

「ケンッ、自分を見失ったらアカンッ!!この仕事についたら一度は経験することなんやッ!!」

建一の肩を必死に揺らして、加藤が叫んでいる。

「なーんか、ここくっさいなぁ。」

そんな時、後ろから声がした。

「誰やッ!!」

加藤が振り向く。

「いやぁ、俺さぁ隣の県から来たんだけど道に迷っちゃって……アンタこの団地の人?」

口の周りに短い髭を蓄えた茶髪の男が、ボリボリとお腹を掻いた。

「んなわけあるかいッ!!だから誰やねん、おどれはッ!?」

加藤は激しく男を睨み付けている。


/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp