第51章 溺れた者と再来
「松崎ッ!!うるさい!!前向け!!」
担任である国語担当の"平部 省悟(ひらべ しょうご)"先生が怒鳴った。
まだ若いが、真面目を絵に描いたような先生だ。
綺麗に整えられた黒髪と黒のスーツとメガネが真面目さを引き立てている。
「うっせーな。クソつまんねーんだよ、テメーの授業は。」
前を向いて頬杖をついている。
「なんだと?」
先生のメガネが光った。
「だから――」
シュッ―――
「ッ!!――オエッ、何すんだよッ!!」
先生が放ったチョークが松崎君の口に入った。
彼は口からチョークを吐き出す。
凄いコントロールだ。
というか、チョーク投げるのはじめてみた。
「俺の授業では、どんな行為もゆるさん。」
先生はそう告げると、再び黒板に文字を書き始めた。
「……最悪。」
松崎君が呟いた。