第50章 魅惑の仮面
その日の夜。
県南部の町のキャバクラ"ローリエ"。
そこに、江田はいた。
もちろん、護衛を引き連れて。
彼はあれから何度もここを訪れている。
ここが彼の縄張りというのもあるが、もう一つ目的があった。
「今日も来てくれるなんて、レイカ嬉しいです。」
江田に寄り添うように、ソファーにレイカが座った。
そう。
目的というのは、レイカに会うということだ。
「ただの暇潰しだ、おい酒。」
「いつものですね、すいませーん。」
「はい。」
呼ばれるボーイ。
レイカは、江田の好物を彼に頼んだ。
そして、ボーイが下がって行く。
「どうぞ。」
その間も、江田が煙草をくわえたのを見逃さずに、レイカはジッポーで煙草に火を着けた。
それもいつものこと。
「お待たせしました。」
テーブルに置かれたお酒のセットとフルーツの盛り合わせ。
直ぐに、テキパキとレイカはお酒を作ってゆく。
「どうぞ。」
江田にお酒の入ったグラスが渡されるのにさほど時間はかからなかった。