第50章 魅惑の仮面
PM3:15
「お前……いや、もうなにも言わねぇ。」
目の前に座る彼が溜め息を吐きながら呟いた。
今、あたし達はクラシックなカフェに来ている。
今日は映画館にいった。
デパートにも。
前、某チャラ男と妖怪に邪魔されたが、今回はちゃんとデート出来た。
―――本当、感激。
ケーキをパクリと口に入れる。
ほのかにさくらんぼの香りが鼻をくすぶる。
幸せってこういうことをいうのだろうか。
彼とデートして甘いもの食べて。
いたって普通のデートだがそれが、なんだか楽しくてしかたない。
別に、お高いデートだとか、大人のデートだとか、そういうのは求めない。
だって、一緒に入れる事が幸せなのだから。
世の中には一緒にいたくてもいれないカップルだっている。
その人達に比べれば、本当にあたしは恵まれていると思う。
まぁ、誘拐とかそういうのは例外だけど。