第50章 魅惑の仮面
PM2:14
市立病院にて。
「………。」
ICUに眠る董次郎を宗次郎はジッと見ていた。
一睡もせずに。
董次郎は当りどころがよくなかったらしく、医者から目を覚ますか分からないと言われた。
彼は今まで何度か銃弾を身体に受けた事がある。
が、直ぐに目を覚ましピンピンしていた。
どちらかというと武闘派で背中には不動明王の刺青を背負っている。
―――誰がこんなことを。
宗次郎はギュッと拳を握った。
犯人に目星はない。
けれども、見つけしだい殺してやりたい。
沸々と怒りが込み上げてくる。
俺を狙っていたのでは無いのか?
何が目的なんだ。
いったい、裏で何が起きているんだ。
コツ―――
額を硝子の壁に当てた。
「わかがし。」
そう思っていると護衛が宗次郎に耳打ちした。
「どうした?」
そちらに顔を向ける。
「実は――」