第50章 魅惑の仮面
"岩中組の組長が何者かに撃たれた"
その事は直ぐに西條会の全組に報告が入った。
撃たれた翌日の昼過ぎ、西條会の本部に幹部が集められ、その事についての会議が行われた。
「今回の件だが、豪龍会の動きが激しくなっている。……このままいくと抗争も避けられん。」
少々年老いたスキンヘッドの男がはっきりと言い渡した。
彼の名は、西岡 正蔵(にしおか しょうぞう)。
西條会四代目会長である。
「やはり構成員を集めて、先に乗り込んだ方が良いのでは?先手必勝といいますし。」
黒い短髪の初老の男が口を開いた。
西條会若頭補佐兼原田組組長である"原田 義史(はらだ よしふみ)"だ。
「いや、岩中が欠けた以上構成員も混乱してる筈だ。今は時期じゃねェ。」
これまた初老の黒髪を整えた男が首を横に振った。
西條会若頭補佐兼前岡組組長"前岡 辰五郎(まえおか たつごろう)"だ。
「そんな余ったれたこと言うから豪龍会になめられるんやッ!!」
強面の坊主の髭を生やした太めの体型の男が椅子を叩いた。
西條会若頭補佐兼山代組組長、"山代 幾美(やましろ いくみ)"だ。
「やれやれ、山代組は血の気が多すぎて困る。」
やせ形の眼鏡をかけた男が呟いた。
西條会若頭補佐兼中嶋組組長の"中嶋 薫(なかしま かおる)"だ。
「同感。」
その隣に座る髪の毛を下の方で結んだ口に斜めの傷がある男が頷いた。
西條会若頭補佐兼沢田組組長"沢田 仁(さわだ ひとし)だ。
「なんやてッ!?おどれら喧嘩うっとんのかいッ!?」
「あーうるさいのぉ。誰かあの口縫ってくれや。」
「なにィ!!」
山代が哮ると沢田が耳をふさいだ。