第50章 魅惑の仮面
「何?親父が?分かった。」
宗次郎の元に連絡があったのは、あれから直ぐの事だ。
携帯を切った宗次郎の手がワナワナと震えている。
表情は冷静を保っていたが、心の中では怒りの炎が燃えたぎっている。
―――こういう時こそ自分が冷静でいないと。
その思いだけが、彼の怒りを抑制させている。
そうでなけれは、今すぐにでも組を上げて江田組に出入りしているところだ。
「どうしたんですか、わかがし。」
車を運転している男が彼に尋ねる。
「親父が撃たれた。」
「え……!?」
部下が目を見開いている。
「市立病院だ、急げ。」
「はいッ!!」
アクセルペダルを踏み込む足に力が入った。