第49章 龍の刺青
「つうか、女の尻にひかれてんじゃねーよ。」
テレビをつけながら堀田が呟いた。
「ひかれてねーし、大事にしてるだけだッ!!」
「大事にねぇ……。」
「なんだよ?」
ジッと奴が見てきた。
「俺が女の機嫌を治す方法を伝授してやろうか?」
「はぁ?」
「この"モテキング"辰輝様が女の扱い方を伝授してやろうかって言ってんだよ。」
「モテキング…てお前が?」
思わず笑いそうになった。
あの髭面がモテるとか想像できない。
寧ろ、むさ苦しい。
「バカにしてんのか?見ろ、この筋肉。」
立ち上がってボディービルダーのような真似をしている。
むさ苦しい。
いや、ホントに。
「そして、このイケメン。」
「は?」
間抜けな声を出した。
堀田は顎に手を当ててポーズを決めている。
これがイケメン?
世も末だ。
「抱いた女は数知れず。惚れた女はたった1人。」
「誰だよ?」
「お袋。」
「きめぇ。」
訝しげに彼を見る。
とんだマザコンだ。