第49章 龍の刺青
「今日だけだからなッ!!つーか、下で寝ろよッ!!」
「へいへーい。」
彼の家のリビングのソファーで寛ぐ堀田さんに向かって彼が叫んだ。
結局彼は堀田さんを泊めることにしたらしい。
「つうかさぁ、今時財布にゴム入れて金たまると思ってんの?つか、破れてつかえねーだろ。まさか、それが狙い!?うわー、卑怯なヤツ。」
口元を押さえながら堀田さんが横目で彼を見ている。
――財布にゴム?なんの事だろう。
あたしは首を傾げた。
「勝手に人の財布見てんじゃね――てか、いつの間に取ったんだ!?」
「あぁ、俺手癖悪くてさ。つうかなに、お前チェリーなわけ?プププ……童貞君。」
――チェリー?彼がさくらんぼ?
また首を傾げた。
「んなわけあるかッ!!周に一回以上はヤってるわッ!!………あ。」
誠也君はゆっくりと私を見た。
「………汚いッ。」
彼を横目で見る。
そういう話を平気で人に話すなんて…汚すぎる!!
「プププ…、墓穴ほってやがんの。」
堀田さんが笑っている。
「いや、今のは筋トレの話だから―――」
「だから?」
更に彼を見る。
「だから――。」
彼がゆっくりと目を反らす。
額からダラダラと滝のように汗を流している。
「もう近寄らないで。」
そう言い残すと二階に上がった。