第49章 龍の刺青
PM2:03
"昨日午後2時前、○○県○○町の路地で―――"
ブチッ―――
「クソッ――後藤がやられるとは……豪龍会を甘く見とった。」
煙草をくわえた藤堂がテレビの電源を切った。
事務所に備え付けてあるテレビで昨日の事件のニュースを。
身内に起きた事だ。
こんなこと今まで無かった。
後藤…いや、御影の者が失敗の旗を掲げた事はない。
"失敗"
その事にも腹が立つが、身内がやられたことが何より彼の怒りの心に火を着けた。
犯人はおおかた検討がつく。
江田組の人間、そして西條会の裏切り者。
後藤はきっとそいつを見たに違いない。
そして、見当たらない後藤の手帳。
「ヘレンッ!!」
荒々しく灰皿に煙草を押し当てると、藤堂は叫んだ。
「はい。」
机の椅子に腰かけているヘレンが書類から顔を上げた。
「今度はBで行く。」
「わかりました、手配しときます。」
「頼む。」
彼はそう言うとジッと消えた煙草を見つめた。