第49章 龍の刺青
「わかがし、茶をどうぞ。」
「あぁ、悪い。」
下積みの男が彼の横に新緑色の茶が注がれた湯飲みがおかれる。
彼は煙草を灰皿で揉み消すと、湯飲みを手に取った。
「お前は……この組が好きか?」
「はい。」
「もし、抗争になったら……組の為に命張れるか?」
男を見ずに尋ねる。
「え…?」
男は戸惑っていた。
入ったばかりなのだろう。
仕方がない。
「……もう下がっていいぞ。」
「はい。」
男が奥へ下がっていく。
宗次郎はジッと湯飲みを見つめた。
湯気の立つお茶の中で茶柱が一本立っている。
縁起がいいのか、はたまた悪いのか分からないが、フッと笑みを浮かべるとお茶をゆっくりと啜った。
また、久々にあの子に会いたくなった。