第49章 龍の刺青
銀楼会まで出てきたとなると、これはかなり不味い事になった。
宗次郎は縁側で頭を抱えていた。
今の西條会の勢力は七つの組で成り立っている。
豪龍会も同じくらいだ。
そこに銀楼会が加わってしまうと、こちらが不利になることは目に見えている。
例え手を組んでないとしても、二つの勢力を同時に迎えうつことは出来ない。
それに、身内に裏切り者が出たとなると、ますます現状はよくない。
「………。」
足元の小石をジッと眺めると、宗次郎は煙草をくわえた。
ボッ―――
ジッポーのネジを擦り火を作り出す。
ユラユラと揺れる炎に煙草の先端を近づけた。
ジワジワと火が煙草を侵食している。
カチンッ―――
ジッポーを閉じるとふーと煙を吐き出した。
江田もよく考えたものだ。
いや、息子の方か。
どうして俺にそこまで執着するのか。
狙う相手など西條会には腐るほどいように。
俺が余所者だからか?
――そんな単純じゃない、きっと。
何か大きい事が裏で動いているに違いない。
真っ青な空を宗次郎は見上げた。
上空で鳶がクルクルと円をかいて回っている。
自分は何かを見失っているのだろうか。
組の為に必死になりすぎて周りに敵を作り過ぎているのだろうか。わからない。
けど、やっぱり自分は組を守りたい。
たとえ敵が増えたとしても。