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レッテル 1

第49章 龍の刺青




「騒がしい、何事だ。」

玄関から着物で羽織を羽織った宗次郎が草履を履いて出てきた。

「わかがし、カチコミです。変な奴が高島の兄貴に――。」

ザッザッサッザッ―――

部下の言葉を最後まで聞かずに、地面に敷き詰められた小石の上を音を立てながら彼が歩く。

「この辺の者じゃないな、どこから来た?」

門まで来た宗次郎が鋭い目付きで彼を見た。

「隣の県から。」

「銀楼会か?」

「ククッ……さぁな。」

男が笑っている。

「その刺青、務めはたしている人間のするもんじゃない。」

「お互い様だろ。」

「……何しにきた?」

ギラリと目が光る。

「おいおい、それを聞くか…普通。」

「俺のタマ取りに来た……だろ?」

「わかってんじゃん、なら話ははえーや。俺こそこそすんの嫌いなんだわ。堂々と頂くわ…そのタマ。」

シュッ―――

男の拳が飛んでくる。
速い。

「わかがしッ!!」

部下が叫んだ。

「……まぁ、こそこそされるよりはいいが―――」

ガシッ―――

宗次郎が男の顔を掴んだ。

「身内に手出されちゃただじゃおけない。」

グシャァッ―――

「ぶはぁっ―――」

男が後頭部から地面に叩きつけられる。

「組を守る者として。」

上から男を見下ろしている。
今までにないくらいに恐ろしい目付きで。





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