第1章 彼氏
あたし大丈夫かなぁ。
スッピンだし、
格好もパジャマにパーカー羽織ってるだけだし。
それに……
誠也君に触れてる!!
そう考えるとみるみるうちに顔が熱くなった。
今、彼がこちらを見ていないのが唯一の救いだ。
「そこの暴走バイク止まりなさい!!」
大通りに出て暫く走っていると、後ろからスピーカーの音が聞こえてきた。
警察だ。
振り向くと誠也君の友達のはるか後ろの方で赤いランプが見える。
あたしは少し恐くなって彼の服をギュッと握った。
「……っ、散るぞ!!」
彼がそう叫ぶと皆物凄いスピードで散って行った。
もちろん、あたし達も。