第1章 彼氏
あたしは慌てて上着を羽織り玄関へ向かった。
履き物を履いて無駄に頑丈な造りのドアを開ける。
「どうしたん?」
家の門を出るとバイクに股がる誠也君と数名の友達。
バイクの甲高い排気音が改造されたバイクからよく響く。
何度も彼のバイクをみたことあるがやっぱり派手だ。
「べつに…。」
彼はそっぽ向いたまま応えた。
心なしか頬が赤い気がするが、まだ4月だ。
しかたない。
あたしもきっと赤いはず。
「お前…別にって、会いてぇとかいっブッ―――。」
といいかけて金髪の男に飛んできた石がぶつかった。
どうやら投げたのは誠也君のようだ。
ハハハと周りの人達は笑っている。
「………ん。」
誠也君はそれを横目にバイクを指差した。
"乗れ"ということらしい。
「うん。」
あたしは頷くと彼の後ろに股がった。
三段シートがあるため座りやすい。
「つかまってろよ。」
「うん。」
ぶっきらぼうに言うと彼はバイクを走らせた。