第49章 龍の刺青
「俺さ、ある人に頼まれてここに来たんだよ。」
「ある人って?」
「ヒミツー。」
あたしが尋ねると堀田さんはタコのような口をした。
「いちいちムカつくなアンタ。」
誠也君の眉間にシワがよる。
「俺この町つーかこの県の出身じゃねーし、土地勘わかんねーし暇だからパチンコしてたら金無くなるわ、携帯の電池切れるわ仲間とはぐれるわで一週間以上飯食ってねーでさ、もういよいよやばくなってゴミ漁ってたんだよ。最終手段ってやつ?」
カッカッカッと、堀田さんが笑う。
なんて、可愛そうな人なんだろう。
思わず同情してしまう。
「そうなんですか、大変でしたね。」
「だろ?」
「いや、ほとんど自分のせいだろ。」
誠也君が呟いた。
「つうわけでさ、金かしてくんない?いや、返せるかわかんねーから、くれよ赤助。」
堀田さんはそう言うと手のひらを彼に出した。
「ほんと図々しいなテメェはッ!!」
「いいから、壱ま……千円でいいよ。」
「今壱万って言おうとしただろ?」
「言ってないよ。僕、いってましぇん。これが言った顔に見える?」
下顎をつきだして変顔をしている。
「見える。」
「じゃあ、これは?」
次は、頬を凹ました。
「ムカつくからやめろ。」
彼と堀田さんで盛り上がって(?)いる。