第49章 龍の刺青
ガサガサ――
駅へ向かう途中、ゴミ捨て場のゴミを汚れた身なりの人が漁っていた。
通行人がジロジロと横目で見ながらそこを避けている。
この町は家をなくし、職につけないホームレスの人が沢山いる。
この町に限らずこの県はそういう人達が多い。
馬場団地もそうだが、貧富の差が激しい気がする。
その点では、あたしはかなり恵まれているような気がする。
「そこのお嬢さん、何か食べ物をくれないか?」
ジッと見ているとホームレスの人が話しかけてきた。
生憎、お弁当しか持ってないあたしは返答に困った。
「んだ、テメェ?ホームレスの誇りもねーのかよ。」
隣で煙草を吸っていた彼が口を開いた。
「なんでそんなこと言うの?おじさん、良かったらお弁当どうぞ。」
あたしは鞄からお弁当を取りだし差し出した。
「あぁ、ありがとうッ!!」
彼はお弁当の袋を開き弁当箱を開けるとその場でガツガツとご飯を食べ始めた。
あっという間に無くなっていく弁当の中身。
全部食べ終わるのに数分もかからなかった。
「お茶どうぞ。」
「ありがとう。」
近くの自動販売機で買ってきたお茶を手渡す。
それもあっという間に無くなった。