第49章 龍の刺青
"昨日午後2時前頃、○○県○○町の路地で傷害事件がおきました。被害者は後藤 裕之(ごとう ひろゆき)さん(26)会社員で意識不明の重態です。犯人は未だ―――"
月曜日の朝、ご飯を食べながらテレビを見ていると、自分達の県で事件が起きたらしい。
路地の映像やインタビューを受けている人の映像が映っている。
「傷害事件とか恐いね。」
味噌汁を啜りながら向かいに座る誠也君に声をかける。
「あぁ。」
彼は頷くと立ち上がって食器をシンクに下ろした。
「まぁ、お前は俺が守ってやるから…心配すんな。」
振り向いた彼が笑っている。
「姉御、俺も守ってやるからなッ。」
急いでご飯を食べ終えた勇人君も笑っている。
あたしは、守られてばっかりだ。
あたしもたまには彼等を守りたい。
「うん。」
あたしも笑顔で立ち上がった。